テレビ&ゲームで賢くなる!何歳から何時間が理想的?

子供にテレビを見せたり、テレビゲームをやらせるべきか、否か?答えは、「テレビは見せるべき・テレビゲームはやるべき」である理由を解説します。

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マスメディアは人類を賢くしてきた

テレビなんて不要!昔の人はテレビを見なくても、知能に問題なかったではないか……、と私も思っていました。それも一理あります。

本質的な地頭の良さ、という点では、今も昔も変わらないでしょう。しかし実際には、過去100年にわたって、先進国の平均IQは上昇を続けています。この現象は、「フリン効果」と呼ばれています。

同じ知能テストを長年使い続けると、次第に平均点が高くなってしまいます。同じ内容のテストであれば、世代が若くなるにつれ、簡単に解けるようになってしまうのです。そのため、実際に、知能テストは定期的に見直しをしているのです。

つまり、自分の親世代と比較すれば、子世代の方が平均IQが高い傾向があるのです。

IQが上昇し続ける背景には、教育の長期化や授業内容の改善、仕事内容が単純労働から専門的で頭脳をようなものになってきたことなどが挙げられます。

その他に、テレビやゲームなどの文化も影響していると思われます。(詳しく知りたい方は、ジェームズ・R・フリン著『なぜ人類のIQは上がり続けているのか?』を読んでいただければ)

産業革命以降の生活の変化により、「仮定の話を真剣に検討すること」「物事を分類して理解すること」「抽象的なことを論理的に考えること」などの能力が、若い世代になるほど身につきました。

知能テストには、複数の図形から一定の法則を見つけ出して分類するような、抽象的な思考能力を問われるテストが多くあり、そのような能力は、知能テストで高い点数に結びつきます。

自分の親世代や祖父世代と話が通じないと感じたことはないでしょうか。それは、単なるジェネレーションギャップではなく、物事のとらえ方や考え方が違うからかもしれません

ゲームでIQが向上する

ゲームやテレビなどの文化がIQを向上させた一因であるということは、ゲームと知能に関する調査を見ると、ありうることだと思います。

ある種のゲームをするとIQが上がるとか、ゲームをやっている人の方が社会性が高かったなど、ゲームと知能に関する調査をすると、意外にもゲームが悪者であるという結果にならない場合が多いです。

では、子供にどんどんゲームをやらせた方がいいかというと、未就学児には早い可能性があります。

『発達障害の改善と予防』には、6歳くらいまではどんな種類のゲームでも悪影響で、ゲームをする子ほど知能が低いとしています。しかし、7歳頃からの脳の発達によいゲームがあるそうです。

敵は攻撃してもいいが、味方はダメというようなルールがある「SAT的なゲーム」や、注意をそらしたらコースアウトしてしまう「ゴーカート」もよいとしています。

『なぜ人類のIQは上がり続けているのか?』には、「テトリスで視覚と空間認知能力を担う脳領域で皮質が厚くなり、他の脳領域も変化した」 という研究を紹介しています。

『「学力」の経済学』によると、対象が17歳以上のロールプレイングゲームなどの複雑なゲームは、創造性や忍耐力によい影響があるという研究結果があるそうです。

長時間やらないのであれば、小学生がゲームするのはさほど悪いことではないと思います。(むしろいいかも)

テレビとゲームは何時間までOK?

一般的に、テレビの長時間の視聴は推奨されていません。また、テレビの長時間視聴と学力や社会性によくない相関がみられるという調査結果は多くあります。

『夢をかなえる能』では、視聴時間は、幼児期だけでなく、思春期以降でも長くても3時間、できれば1時間以内がよいとしています。

『「学力」の経済学』 は、ゲームやテレビの時間が1日2時間を超えると、負の影響が飛躍的に大きくなるとしています。日本小児科医会も2時間までを目安に、としています。

しかし、節度ある視聴時間であれば、テレビの視聴と学力との相関はほとんどない、という調査結果が多いです。『「学力」の経済学』 では、1日1時間程度のテレビやゲームは、まったくテレビやゲームをしないのと変わらない、としています。

その他の研究を見ても、ゲームやテレビなどのメディア接触時間は、1時間~2時間程度にするのがよいのかなと思われます。

テレビを見るならバラエティ番組?

テレビの長時間視聴は悪影響がありそうだという説が多くありますが、テレビがIQにあたえるポジティブな影響はないのでしょうか。

実際には、そのように断言できません。たいていの子供はテレビでなくても、なんらかの形で映像コンテンツに接しているので差異が生じにくいだけかもしれないからです。

『「学力」と「社会力」を伸ばす脳教育』には、バラエティ番組をよくみる幼児ほど知能が高いとしています。同書では、バラエティ番組は社会行動が豊富だからではないか、と推測してます。

『なぜ人類のIQは上がり続けているのか?』のあとがきには、人類のIQが向上している背景として、バラエティ番組について言及しています。クイズ番組は「分類と推論が問われ」、お笑い番組の笑いを理解するには「瞬発的な概念操作能力は必須」と分析しています。

『「学力」の経済学』では、幼少期にテレビを見ていた子供は学力が高いという研究も紹介しています。

個人的には、バラエティ番組から直接何かを身につけているだけではなく、テレビを見ることが、友人とのコミュニケーションにつながることがさらに重要と思っています(詳細は後述)。

ゲームが社会性を育む

テレビとゲームの最大のメリットは、バラエティ番組で鍛えられる思考能力ではありません。テレビやゲームとうまく付き合う子供の方が、社会性が高い傾向があるなど、本質的な賢さに関わるからです。

「子どもに良い放送」プロジェクトの調査(第10回)では、どのような遊びをしているかという点と、仲間の多さで子供を4つのタイプに分け、テレビやゲームの視聴時間と仲間の数や社会性などとの相関を調べています。

面白いなと思ったのは、次の結果です。

  1. 男の子の場合、ゲームの時間は仲間の多さにも少なさとも相関があった
    →ゲームをすることで大人数の仲間集団に属せる、逆に、仲間がいないから孤独にゲームをしていると推測できます。
  2. 女の子の場合は、他の子とゲームをする子の方が、そうでない子より仲間が多かった
    →女の子の場合も、周囲にゲームをする子が多いなら、一緒にやった方が、仲間が増える。
  3. 男の子の場合は、仲間が少ないと社会性が低かった

3つ目「仲間がすくないと、社会性が低い」について、調査では、仲間とどんな遊びをするかは重要でなく、仲間がいることが社会性を発達させることを示唆しているのでは、としています。社会性が仲間集団の中で育まれることを考えると、当然の結果なのかもしれません。

ゲームでもなんでもいいから、孤独で過ごすよりも、友達と遊んだほうがよいということです。

しかし、この調査では、女の子にはそのような傾向が見られなかったという点がむしろ面白いなと思いました。もしかしたら、女の子は、男の子ほど大人数で遊ぶ必要はないのかもしれません。

確かに、男の子の方が、群れを作る傾向や仲間意識が強い傾向があります。ゲームに悪影響があったとしても、男の子にとっては、仲間の輪から外れることの方がネガティブな影響があるかもしれません。特に男の子は、友達と遊ぶ目的で、ゲームを欲しがったら、買ってあげた方がよいのではないかと思います。

女の子の場合も、この調査結果では有意な結果はでていないものの、やはり社会性の発達に仲間は重要と思われるので、友人と遊ぶために欲しがったら買ってあげるのがよいのではないでしょうか。女の子は、ゲームにのめりこむ子が多くないので、その点の心配も男の子より少ないでしょう。

テレビ番組は、子供が見たがるものを見せること!

「子どもに良い放送」プロジェクトの調査(第1回)では、ゲームに関する会話を友人とよくする4年生は49.6%、中学1 年生で 41.9%で、いずれの学年も男児の方が高い頻度でゲームの会話をしているそうです。テレビの会話を友人とよくする小学校4年生は58.6%、中学校 1年生は 68.9%と半数を超えるとのこと。

小学4年生~中学生くらいでは、友人との会話でテレビやゲームについて話すことが多いというのは、想像通りかもしれません。

さらに、中学1年生の調査結果として、「友人間でのテレビ会話頻度」 が低いほど、孤立傾向があるとしています。

テレビの話をしないから孤立するのではなく、孤立しているから話をしないのではないかとも思われますが、一人だけ話についていけないと孤立しやすくなるというのはあるかもしれません。また、コミュニケーションの機会を奪ったり、自己肯定感を低める可能性もあるのではないかと思います。

知育という面では、バラエティ番組がいいのかもしれませんが、子供が見たがる(=友達が見ている)番組を見せてあげるのがいいのではないかと思います。

テレビが直接与える影響よりも、友人との能動的なコミュニケーションの方が得るものが大きいと思います。

ダラダラ見続けるのが嫌な場合は、時間を決めるといいです。

基本的生活習慣の自立度(自分で起床する、お手伝いをするなど)が低いほど、テレビに対する依存度が高く、見ていないのにテレビがついている「ながら視聴」をしている傾向があるそうです。(「子どもに良い放送」プロジェクトの調査 第10回)

「友達が見ている番組を見たがる」傾向は自立度との相関はありませんでした。どんな子でも、友達が見たがるテレビは見たいものです。

テレビに限らず、家事などについても親子でルールを決めると、子供の自立につながるのではないかと思います。

まとめ

ここまで見てきた、さまざまな研究結果から、テレビとゲームの付き合い方についてまとめます。

  1. テレビとゲームに接触する時間は、1日2時間程度がよい
  2. テレビはできれば2歳まで見せず、ゲームは小学生になるまでやらせない方がいい
  3. 友達とゲームをやる場合は、やらせてあげた方がいい
  4. テレビ番組を、友達が見ているから見たい場合には見せた方がいい

基本的に外遊びをして、食事やお風呂などの時間、もちろん家族の一員として家事もやることを考えれば、家での子供の自由時間は2時間もないはずです。

また、友人と何して遊ぶか、さらには、家での自由時間は、親が口出しすべきことではないので、少なくても小学生になったら、子供に任せるのがいいでしょう。大人だって、友人と何するか、余暇に何をするか指示されたくありません。

自由時間の過ごし方を指示するのは、過干渉です。そのような関係は思春期に反抗期を生み出す可能性が高いです。

友人との関係でテレビを見たがったり、ゲームをやりたがる場合は、尊重するのがよいでしょう。テレビやゲームを通して、友人との接触が増え、社会性が育つことと、孤立しないですむというメリットがあります。子供にとって、孤立は大人よりもずっと辛いものです。自己肯定感の低下につながる可能性もあります。

テレビやゲームに接触しすぎで気になるのであれば、親子でアイデアを出し合って、双方が納得できるルールを建設的に決めるとよいと思います。

テレビを見ていない、もしくは、他のことをしている(ながら見)の場合は消す、友達とゲームをやるのであれば、家ではやらない、家事をちゃんと終わらせてからやる、などが考えられます。

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