1歳までにやるべき知育

生後半年までの赤ちゃんは、まず脳の脳幹という部分を主に発達させます(⇒参考「0ヵ月から6ヵ月までにやるべき知育」)。半年から1歳までの赤ちゃんも引き続き、脳幹を発達させる時期なので、抱っこをはじめとするきめ細やかなお世話は最重要です。

生後間もなくの赤ちゃんと、半年から1歳の赤ちゃんの違いは動くことと、自我がでてくることです。それまで存在していることで精いっぱいだった赤ちゃんが、半年をすぎると何かをしたいという気持ちになってきます。

また、8ヵ月くらいになると、ハイハイやつかまり立ちをして、探索活動の範囲が急拡大します。親にとっても大変な変化を迎えます。

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退屈させなければぐずる子にならないし、好奇心が伸び脳も発達する

『ホワイト博士の育児書』によると、赤ちゃんは6ヵ月の終わりころから誰かを呼び寄せようとしてわざと泣くようになります。そして、甘やかしたままでいると、7ヵ月の終わりくらいには抱き上げてもらおうと昼間しょっちゅう泣く習慣がつくそうです。

そうしないためには赤ちゃんが興味の持てる環境を用意し、楽しく過ごせるようにすることが大切です。親が遊んであげることはもちろん重要です。同書は、いつも何はさておき赤ちゃんと遊んであげるのがよいといいます。やはり生後半年を過ぎても、がっつりと家事をしている場合ではないのです。

1歳に近づくにつれどんどんと社会性が増し、鏡ごしに目があったり、いないいないばあなどで喜んだり、言葉に反応したり、バイバイやパチパチ、数字の1などの身振り手振りができるようになってくる赤ちゃんもいます。反応がでてくるので、親も遊ぶのが楽しくなってくるでしょう。

赤ちゃんが遊んでいる時は、赤ちゃんの好奇心を大事にし、赤ちゃんの集中をじゃましたり、やっていることを止めたりしないようにしましょう。赤ちゃんが興味をもっているものに親が興味をもつようにしましょう。赤ちゃんが遊んでほしいサインを送ってきたら存分に遊んであげましょう。

同書では他の方法として、「普段と違う人や場所やものを見まわす」ことを挙げています。

おすすめは、0歳児を対象とした子育て広場や支援センターです。支援センターでは、「ここでは機嫌がいいのですが、家ではグズグズで……」「家では抱っこ抱っこなのに、ここでは私のことなんて見向きもせずに遊びます」という話をよく聞きます。「家でグズグズだったので、行こうか迷ったんですが……」という話も何回も聞きましたが、そういう赤ちゃんもご機嫌で遊んでいました。

支援センターには興味をそそるおもちゃ(特に安全に口にいれられるもの)があり、他の赤ちゃんがいて、思う存分動き回ることができ、危ないからといって気に入ったものを取り上げられることもありません。

支援センターのようなところでグズグズしているのは、眠い、お腹がすいたなどの生理的欲求であることがほとんどで、機嫌の悪い赤ちゃんはほとんど見たことがありません。お母さんは、その間にママ友と情報交換したり、おしゃべりを楽しんで気分転換したり、一石二鳥です。

知り合いがいなくて支援センターに行きにくいと思っていた方は、子供が動けるようになったら行ってみるチャンスです。子供が動いてあちこちに行ったり、子ども同士で同じおもちゃに興味を持ったりすると、いろいろな人と話すきっかけになります。(会話がはずまなくても、退散するきっかけになります)

マシュマロテスト 成功する子・しない子』は、赤ちゃんが興味を持つ活動に注意を向けさせることが、ゆくゆくは実行機能や自制心につながっていくとしています。

自我がでてきてぐずるようになってくる

半年を超えた赤ちゃんはだんだんと自我がでてきます。半年までの赤ちゃんは何かを取り上げても反応しませんが、半年をすぎると不快を示すようになってきます。赤ちゃんが好ましくないものを手に入れてそれを取り上げたい時は、別の物で赤ちゃんの気をそらすようにしましょう。5秒程度気をそらすことができれば、9ヵ月くらいの赤ちゃんは忘れてしまうことが多いです。1歳近くになっても、数分遊べば忘れてしまいます。

ちなみに短期的な記憶は、7、8か月頃に伸び始め、1歳半には24時間記憶するようになるそうです(『ホワイト博士の育児書』)。

不快を引き起こさないようにできれば越したことはありませんが、不快にさせてしまったら、気分を切り替える手助けをしてあげましょう。場所を移る、興味のあるおもちゃや遊びを提供するなど。そうすることが、気持ちのコントロールを覚える手助けになるでしょう。

ダメなことはダメだと伝える

自分や他人を危険にする行為など、絶対にやめさせなければいけない行動をした場合は、きっぱりと「それはダメだ」と伝えましょう。

それでも止めない場合は、赤ちゃんの腕を痛くなようにつかみ、動きを封じます。「それはダメだ」ということを伝え、赤ちゃんが嫌そうにして15秒くらいたったら手を放しましょう。

我が家では絵本を投げるのをやめさせる時に、この方法を使いました。結果、1回でやらなくなりました。なんでもかんでもこれをやると赤ちゃんも委縮してしまうので、噛みつきなどのように、絶対に受け入れられない行動に限定してください。

言っていることが分かるようになってくる

だんだんと理解力がついてきて、8ヵ月くらいになるとダメというと止める時もあるでしょう。ただし、赤ちゃんの好奇心を発達させるため、そしてネガティブな声かけを避けるためになるべくダメと言わない環境を整備しましょう。

6ヵ月~1歳で取り組むこと

1.家の中を自由に探索させ好奇心を育む

赤ちゃんが自由に探索できるようにするとともに、大事な家電や家具を赤ちゃんから守りましょう。できれば台所も自由に遊べるようにしましょう。ハイハイをしたばかりの頃は、20センチ程度の高さしか登れませんが、1歳になると40センチくらいの高さを登れるようになり、ソファやベッドも高さによっては登れるようになります。そこまで見越して模様替えすることをおすすめします。
0歳、1歳の赤ちゃんの好奇心を育む部屋作り

2.おすすめのおもちゃ&遊び

ハイハイをしてから2歳になるまでは、いわゆるおもちゃではあまり遊びません。まずは口に入れて探索できる小物をたくさん用意しましょう。この頃の赤ちゃんへのプレゼントによくありがちなルーピングは、どちらかというと夢中にならない赤ちゃんが多いです。高いものを買おうと思っている方は、実物を試して興味があるか見極めてからがいいでしょう。
6ヵ月から1歳までの赤ちゃんが夢中であそぶおもちゃ

3.絵本

絵本を破るようになったら、薄い紙の絵本はしまってしまいましょう。1歳すぎにまた活躍します。この時期の赤ちゃんにとっては、本の中身より、本そのもののが興味の対象です。くわえたり、こすったり、叩いたりしても平気なボードブック(厚紙の絵本)を用意しましょう。薄い紙をめくる遊びのために、要らない冊子やカタログなどもあると喜ぶかもしれません。その場合、ちぎった紙を食べないように注意しましょう。

4.夜の寝かしつけを変えてみる

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる最高の子育てベスト55』には、6ヵ月頃から赤ちゃんが自力で寝られるように練習をはじめようと書かれています。背中スイッチが敏感だった我が家も、6ヵ月になる直前に暗くして寝たふりをするだけで寝てくれるようになりました。トレーニングをしたわけではありません。一度も泣かせずに、です。他のママさんも、同じ時期に寝たふりに切り替えていました。

生活リズムが整ってきたら、より楽な寝かしつけを試してみるとよいでしょう。

特に添い乳をして頻繁に夜起きる場合は、母子ともに良眠が得られない原因となっている可能性があります。起きてしっかり授乳した後に寝かすようにしましょう。夜起きた場合も体を起こして授乳しましょう。

赤ちゃんは日々育っています。この子は抱っこや添い乳でないと寝ない子だ、と思っていても試したら意外と寝てしまうかもしれませんよ。ちなみに我が家の場合、夜は自力で寝ても昼は抱っこでないと寝ませんでした。

9ヵ月頃には夜通し寝る赤ちゃんも増えてきます。

5.着替えの自立のスタート

赤ちゃんによっては上着を着る時に腕を出したり、ズボンをはくときに足を上げたりするなど着替えに協力的な様子がでてきます。上着を着る時に手におもちゃを持っていた場合、少し待てばおもちゃを持ち替えたりどこかに置くなどして、自ら手を空けて袖を通そうとするかもしれません。脱ぐ時は、すぽーんと脱がすのではなく、いずれ自分んで脱ぐ時の手順(下記参照)で丁寧にゆっくりと実況しながらやりましょう。自発的にやらない場合も、次にやることを予告しながらお手伝いします。

赤ちゃんの自発的な動作を待つこと、なるべく最小限の介助で目的を果たせるようにしてあげることで、自分でやりたいという気持ちを応援しましょう。

1歳半以降に着る服を購入する場合は、つなぎのようなものではなく、上下がバラバラのセパレートタイプのものにしましょう。女の子はワンピースもかわいいのですが、履きやすいズボンも用意しましょう。早い子ではズボンを脱ぐのは1歳頃、はくのは1歳半頃から自分でやり始めたという子もいました。公園などの外遊びも本格化するので、そういう意味でも動きやすいズボンがあるといいです。

逆に、着替えをものすごく嫌がる赤ちゃんもいますが、自我のめばえの一環としておおらかに考えましょう。親がイライラしなければ、そのうち自分で着替えることに興味をもつはずです。

着脱の手順

  • ズボンの脱ぎ方
    下にひっぱって降ろす→片足ずつ抜く
  • Tシャツの脱ぎ方
    袖をひっぱり腕を片方ずつ抜く→頭を抜く
    ※我が家では最初、片手を抜いた時点で頭を抜きたがったので、片手→頭→もう一方の腕の順でした。子供がやりたそうにしていたら、順番に特にこだわらなくてもいいと思います。
  • ズボンの着方
    片足ずつ足を通す→立つ→腰まで引き上げる
    ※10センチ程度の低めの段差があると履きやすいです。親の膝の上に座らせても。しかし床にべったり座ってもじきに履けるようになります。
  • Tシャツの着方
    頭を出す、腕を片方ずつ通す
    ※我が家では、頭とともに腕を通したがったので、いっぺんにかぶせるようにして着せていました。子供のやる気にあわせて順序にはこだわらなくてもいいと思います。2歳近くになると自分でかぶって頭を通してから、片腕ずつ出して着るようになりました。

6.食事の環境を整える

半年から離乳食が始まります。上手にお座りができるようになる頃には、食事の環境を整えましょう。まずは、ダイニングテーブルで食べるか、ローテーブルで食べるか決めましょう。
赤ちゃんの食事用の椅子、トリップトラップを買う前に考えるべきこと

7.1歳の誕生日のプランを立てる

1人目の1歳の誕生日は気合が入っている親が多いものです。部屋のデコレーション、離乳食ケーキ、プレゼント、一生餅、選び取り、写真館での撮影など。2人目、3人目を考えている方は、その子たちにも同じようにできるかを考えてもいいかもしれません。また、親にとっても、親となり1周年の記念日です。自分自身に何かご褒美をあげてもいいのでは⁉

8.テレビ・スマホ・DVDなどスクリーン関係

引き続き基本的には見せない。

9.授乳、カンガルーケア、語りかけ

授乳、カンガルーケア、語りかけも引き続き重要です。早い子は1歳前に言葉がでますが、話すことよりも理解していることの方が重要なので、言葉がでる時期は気にしないことです。