0歳でやるべき知育、したいこと

0歳の赤ちゃんの知能を育てるためにはどうしたらいいでしょうか。赤ちゃんの頃の接し方が、その後の成長を左右するという説が根強くある一方で、行動遺伝学の分野では、成長した子供の性格や知性に親の影響はほとんどないということがわかっています。

普通に育てていれば何も問題はないでしょうし、親がどうがんばっても効果は限定的だと思われます。

そのため、無理のなく、できれば親が楽しめる範囲で、よいといわれるような取り組みをするといいと思います。

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誕生~生後半年の赤ちゃんの脳を発達させるには?まずは脳幹から!

子供の知能を高める、地頭をよくする英才教育とは」でも書きましたが、生後半年までの赤ちゃんの脳は詰め込み学習をするタイミングではありません。主に親とのコミュニケーションを通じて、基本的な生きる力を担う脳幹を主に発達させていく時期です。脳幹が十分に発達することで、その後に感情や知能を担う大脳が発達していきます。

学習効果を高めるうえで重要な脳内ホルモン(調整物質)であるドーパミンは脳幹の一部である中脳から分泌されます。ドーパミンだけでなく、脳幹から分泌される脳内ホルモンは、知能をつかさどる大脳の発達に重要な役割を果たします。このことを考えても、脳幹の発達が大事だということが分かります。

脳幹が健やかに発達するためには、赤ちゃんが愛され大切にされていると感じながら過ごすことが重要です。赤ちゃんをよく見て、不快感や不安感を取り除いてあげるとともに、赤ちゃんが心地よく楽しく過ごせるようにしましょう。

(どの親でも自然とそのように接しているはずです。無理に高いハードルを設定することはありません。)

きめ細やかなお世話をすることで、認知能力が高まりストレスに強くなる

自制心は社会で成功するために重要な能力ですが、その自制心を研究した『マシュマロテスト 成功する子・しない子』には、赤ん坊のストレスレベルが慢性的に高い状態にならないようにして、安心できる関係を築くことが重要とあります。

ラットの実験では、母親から舐めたり毛づくろいを頻繁にされた子ラットは、認知力が高くなりストレスにも強くなりました。

ただし、ラットの毛づくろいが、人間にとってのどのようなことに該当するかは分かりませんし、そのまま人間に当てはまるかもわかりません。 母親がきめ細やかにお世話することで、少なくても短期的には、 人間の赤ちゃんもラットと同様にストレスに強くなるようです。一方で、大人になる頃にはその影響はほとんど残っていないという説が有力です。

いずれにしても、きめ細やかにお世話をされれば少なくても赤ちゃんは幸せなはずなので、無理のない範囲でやるのがいいでしょう。

『ホワイト博士の育児書』は、5か月半までの赤ちゃんは不快感がある時のみ泣くので、泣いたらなるべく不快感を取り除くように努めるのが大事だといいます。同書では、泣いたらすぐに応じてもらえる子の方が、そうでない子よりも「なにかというと泣く時期」が短くなるとしていますが、子供の個性もあるので参考程度に。

一昔前に、「抱き癖がつくから抱っこしない方がいい」という通説があり、それが現代でもゾンビのように生きています。さまざまな育児の解説書が「抱き癖はつきません、たくさん抱っこしましょう」と呼びかけていますが、いまだに「抱き癖が……」と言うおばあちゃんもいます。実際に聞いた時は、本当にそんなことを言う人が存在するのだとびっくりしました。

抱き癖に科学的根拠はないこと、むしろ泣かせ続けると、少なくても短期的にはストレスに弱くなり、すぐに泣く状態が続くようになる可能性があることを理解してもらい、おばあちゃんにもたくさん抱っこしてもらいましょう。

赤ちゃんが興味を持てる環境を用意すると、がまん強さや実行能力につながる

赤ちゃんが興味を持つ活動に注意を向けさせると、自ら気をそらして自分を落ち着かせるのを学ぶことにつながるといわれます。ゆくゆくは、自身の目的や感覚、意図を適切に表現できるようにり、実行機能やがまんする力につながっていくそうです(『マシュマロ・テスト 成功する子・しない子』)。

歌を歌ったり、語りかけたり、生後半年までの赤ちゃんに適切なおもちゃを用意するなど、赤ちゃんが好奇心を発揮できる環境を用意しましょう。

かまいすぎたり、刺激が多すぎる環境にも注意です。赤ちゃんの集中を中断させないようにしましょう。赤ちゃんが何かに集中している時はそっとしてあげましょう。
赤ちゃんのリビングの居場所づくり

親は情緒を安定させ、夫婦仲は良くする

頻繁な夫婦喧嘩のような穏やかな環境ストレスでも脳に重大な害を及ぼすという説があります。両親が仲良くすることや情緒が安定しているなど、家庭内が明るい雰囲気に包まれていることも重要かもしれません。

(一方で、両親の仲が悪いと子供の問題行動が増えるのではなく、子供の問題行動が両親の不仲の原因になるとする説もあります。両親の不仲で脳に影響が生じるという説も、子供の脳に何かが生じ、その結果、両親が不仲だという可能性があります。親の仲が悪くても過度に心配することはないと個人的には思いますが、できれば仲よくするにこしたことはないでしょう。)

育児についていろいろ言われることがあるかもしれませんが、『「やる気脳」を育てる』には、乳児期には本能的にやってあげたいと思うことをすればよいとあります。

例え誰かに何かを言われても、本能的にやりたいと感じたことをやってあげるのが、赤ちゃんのためにも、そして親の情緒の安定にもつながるのだと思います。

で、何をしたらいいの?

親自身が情緒を安定させ、赤ちゃんの欲求にできるだけすばやく、そして快く応じましょう(できる範囲で)。赤ちゃんが興味持てる環境を用意して、楽しくすごせるようにましょう。愛情のあるきめ細やかなお世話は、赤ちゃんを幸せな気持ちにします。

泣いている時に原因を調べて不快感を取り除く他に、具体的にどのようなことをすればいいか挙げます。

1.母乳育児を通じたコミュニケーション

母乳やミルクは単に栄養をとる手段ではなく、赤ちゃんとの大切なコミュニケーションの機会です。
母乳育児のメリットを最大化するコミュニケーション型授乳

2.カンガルーケア(抱っこ)

カンガルーケアは生まれた直後だけ抱っこするというものではありません。本当のカンガルーケアで赤ちゃんと幸せな時間をすごしましょう。抱っこは、赤ちゃんにとって最高の知育です。
カンガルーケアは赤ちゃんの脳の発達を促だけでなく、お母さんもハッピーな気持ちになる

3.添い寝

アメリカ小児科学会では、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを低減するため最低限半年、できれば1年間は赤ちゃんと同室で寝ることを推奨しています。ただし、同じベッドではなく、別々の寝床がよいとしています。『「学力」と「社会力」を伸ばす脳教育』には、脳が豊かに発達のための環境として、添い寝を推奨しています。(参考「赤ちゃんをどこで寝かせるか?フローリングでもベビー布団がおすすめ」)

4.生活のリズムを整える

不快感を取り除くと同時に、なるべく不快にならないように努めましょう。赤ちゃんは眠くなると機嫌が悪くなります。睡眠パターンが整ってくると、親はグズグズで悩むことが減り、赤ちゃんの不快感も減ります。
0歳の赤ちゃんの睡眠を整えるためにやるべきこと!豆電球もNG!

5.語りかけ

赤ちゃんは話しかけられるのが大好きです。言葉の習得は生まれた時にはすでに始まっているので、無理のない範囲で赤ちゃんに語りかけましょう。
生後0ヵ月から半年の赤ちゃんの言語能力を伸ばす語りかけ

6.歌をうたう

童謡を覚えて歌いましょう。胎内で聞いていた歌と聞くと落ち着くという研究結果があるので、出産前に歌っていた歌があったら歌ってみましょう。(参考「胎教は効果があるのか?胎児の耳が聞こえるようになるのは何週目?」)

7.ママ友をつくる

産後3ヵ月くらいまでに支援センターや子育て広場にデビューする人が多いです。そして、生後半年くらいまでに仲のよいグループができてしまいます。後から輪に入るのは大変なので、体調がよい場合は散歩をかねて出かけてみましょう。
特にワーママは子供が0歳の時にママ友をつくるべき!将来も左右する

8.おすすめのおもちゃ&遊び

モビール、プレイジム、鏡、ガラガラ、コップ、ボール、布絵本、ペットボトルなど。ふれあい遊びやマッサージもいいですね。子育てイベントや支援センターに行くといろいろ教えてくれます。光ったり、電子音のするおもちゃは不要です。

9.絵本

返事をしてくれない赤ちゃんに何を話しかければいいか分からない時は、絵本を読んであげることもおすすめですが、がんばりすぎる必要はありません。

(参考)
絵本の読み聞かせで学力やIQは上がらない!絵本の呪縛から解放されよう
【0歳~1歳】写実・写真の絵本が脳によいという説
【0歳~1歳】娘が好きだった絵本!イチオシは『せんべ せんべ やけた』
【0歳~1歳】は厚紙絵本(ボードブック)がおすすめ!『あかちゃんはーい』ほか

10.テレビ・スマホ・DVDなどスクリーン関係

基本的には見せません。半年未満の赤ちゃんにスクリーンを見せてよい結果となった調査は見かけません。一方的な知育DVDから学ぶこともないようです。ただし、ビデオチャットのように双方向のコミュニケーションができる場合には、学習につながる可能性があります。

生後半年以降~1歳までにやるべき知育