保育園でお友達を噛んでも、親の育児やしつけとは全く関係ないという事実

1歳半~2歳くらいになると噛みつく子が出てきます。

保育園で子供がお友達を噛んだ場合、その原因は親にはありません。
愛情不足でもしつけが足りないわけでもありません。

子供は家と保育園では別の顔をもっている

0歳児でも、保育園では家のルールが通用しないことを分かっています。
家で食べ物の好き嫌いが多い子が保育園ではなんでも完食したり、家で昼寝しない子が保育園では爆睡しているのはよくあるケースです。

保育園での子供の様子が、家と全然違ったという話もあるあるです。

家で野菜を食べないのに保育園で食べるのは、親のしつけが原因でしょうか?
家で昼寝しないのに、保育園で寝るのは親が言い聞かせているからでしょうか?
家で甘えん坊の子供が、保育園でしっかりしているのは、親のしつけの影響でしょうか?

違いますよね!

保育園での行動に親は影響力を持たないし、近くにいないため監督することもできないわけなので、トラブルが起こった場合に親の原因だと思うのは間違いです。

勘違いしている保育士さんは多い

子供のいない保育士さんは、家でのしつけが保育園でも生かされると信じている方も多いので誤解していることが多くあります。

もっと困るのが、育てやすい子供を生んだ保育士さんで、そういう方は、子供に問題があれば家庭に原因があると思い込みます。

ある保育士さん(仮にAさんとしましょう)は、戦隊もののような暴力的なテレビを見せるから男の子は攻撃的になるのだと信じて疑いませんでした。

なぜならその保育士さんの子供は男の子でも、とても穏やかな性格だったからです。
アンパンマンすら、暴力的なので見せなかったそうです。

Aさんは確信しました。
「ああ、やっぱり家庭で暴力的なテレビを見せなければ男の子だって穏やかに過ごせるじゃない」と。

一般的に男の子の方が攻撃的なのは、男の子と女の子の脳は生まれたときからそのような傾向を持つからで、さらに成長とともにその差は拡大していきます。

大人が男の子と女の子の区別をしなくても、子供自らが、男の子らしさや女の子らしさにこだわることもわかっています。

もちろん個人差があるので、おとなしい男の子もいます。

どの程度男らしいか、女らしいかというのは生まれるときには決まっていて、親の育て方には全く影響を受けません。

Aさんの子供は遺伝的に大人しかったのでしょう。

もしそうでなければ、例え家でテレビを見せなくても、お友達を通してアニメや戦隊ものの影響を受けて大暴れしたはずです。

逆にAさんのような子供であれば、戦隊ものを見せたとしても、お友達と戦うような激しいごっこ遊びはしなかったはずです。

その他の困った保育士さんの例でよくあるのは、科学的でない分析をして、事実と思いこんでしまうパターンです。

噛んだ子の親に共通する疑わしい特徴があれば、偏見を確信に変えてしまいます。

例えば、何人かの保育士さんは「くせで噛む子もいるけれど」と前置きしつつも、「長時間預けられている子は噛みつきやすい傾向がある」とか「下の子が生まれるなどして、寂しいと噛むことがある」と言っていました。

少ないサンプルをもとにして、適正でない分析をして、事実とは程遠い結論を導きだしてしまっています。

長時間預けられてることと、噛みつきが関係あるかは、保育時間以外の条件を同じにしないとわかりません。

例えば、一卵性双生児の兄弟を探し、一人は短時間、もう一人は長時間保育にして、噛みつきとの関係を調査すればよいでしょうが、そんなケースはまずありません。

だから、「~~~だと噛みつく傾向がある」という保育士さんがいたら、統計の感覚が弱い人なのだとスルーしましょう。

遺伝の影響はある

とはいえ、実は私も支援センターなどでの限られた経験から、「親がピリピリしていると子供が噛みつきやすい」という偏見を持っていました。(統計の感覚が弱かった!)

しかし、親の育児スタイルは子供に大きな影響を与えないという科学的な結果を考えると、親がピリピリすることが噛みつきにつながることはなさそうです。

すぐにピリピリする性格が遺伝したから噛みつきやすい、ということはあるかもしれません。

下の子が生まれるなどして寂しいから保育園で噛みつく、というのも何の根拠もありません。

親に赤ちゃん返りしたり、下の子に噛みつくというのは普通です。

しかし、親や下の子がいないところでは、別の子供社会があるので、下の子の誕生が子供の行動に影響を与えることはほとんどありません。

長時間預けて働いているお母さんはバリキャリの可能性が高く、自己主張も強いかもしれません。そのような性格が遺伝したのであれば、上手にしゃべれないけれど、自分の訴えを表現したい気持ちが噛みつきになることがあるのかなという気もします。

保育園でトラブルがあるとすれば、それはある程度遺伝に由来する性格の影響か、保育園の環境のせいです。

遺伝について責められても困るので、まっとうな保育園は親に責任をおしつけたりしませんが、中には「ゆっくり休ませてあげてください」「いっぱいかまってあげてあげて(または抱っこして、とか、お話ししてあげて)ください」などと言って責任転嫁する保育士さんもいます。

これ以上がんばれないくらい常にがんばってんだよ!

と、心の中で言ってスルーしましょう。

たいていは、悪意があるわけではなく、無知なだけです。

保育園でなんとかしてもらうために

あまりにしつこい場合や、トラブルが続くのに解決策をとらない場合は、保護者から提案してあげるといいです。

保育園のトラブルは親が家でどんなにがんばっても解決しません。
保育士さんにがんばってもらうしかないのです。

(遺伝的による影響が原因の場合は、時が解決するのを待つしかないこともありますが、それでも保育士さんの理解があれば子供も親も過ごしやすくなります。)

私の場合、子供が保育園でお友達を頻繁に、しかも理由が無いときでも突き飛ばすのを見て衝撃を受けたのですが、保育士さんに聞くと、「他の子も同じようなものだし、1歳はそんなもの」という説明をされました。

そんな話の後に、「おうちでゆっくり休めるといいんだけど」と言われることが数回あり、もやもやしました。

家で十分休んでますけど!?

さらに、保育園でなければ、同じくらいの子供と仲良く遊んでいました。
保育園なら確実に突き飛ばしているいうシチュエーションでも、穏やかにすごしていました。

問題はやはり保育園だと確信しました。

その保育園はあまり外遊びをしなくて、保育園からの帰りに広場で走り回って遊んでからでないと帰りたがらないことが頻繁にありました。

保育園の部屋では子供たちが、走っちゃダメと何度も注意されていました。
保育士さん、あなたが注意しているのは、この世で一番走りたい年頃の子供たちだよ!

そこで「思い切り走ったり、体を動かしている時はお友だちと仲良く遊べます。最近雨が続いているので、運動不足でストレスがたまってしまい、保育園ではお友達を押しちゃうのかもしれません」と連絡帳に書きました。

また、体を動かす時間を増やしてくれると嬉しいということを何度か伝えました。

幸い保育士さんはいい人ばかりで、外遊びを増やしてくれました。

そんなある日、保育士さんが「体力がついてきたのか体を動かさない日は昼寝の寝付きが悪くなっていて……」と無邪気に教えてくれました。
(もともとそんな状況だったなら、言われる前に運動させてくれ!)

そのせいかは分かりませんが、保育園での荒れは落ち着きました。

噛みつきで悩んでいる方へ

親にできるのは、親と一緒のときに噛みついたら注意することくらいです。
後は、保育士さんにできることがあれば提案してみましょう。

家で同様の問題がない場合は、さりげなく、しかし明確にそう伝えるのは効果があると思います。

つまり、家庭が問題だと誤認している保育士さんには、「保育園で」問題が発生していると明確にしてあげましょう。

「家では噛みません」「休日にお友達と遊ぶときは噛みません」「保育園でのみ噛んでしまうようです」などと。

保育士さんにしてほしいことがあれば、リクエストするといいと思います。

「できればもっと体を動かす遊びを増やしてほしい」「不安そうにしていたら、可能な時は抱っこしていただけると嬉しい」とか。

丁寧にお願いすれば、保育士さんは基本的にみなさんいい人なので(そうでないと続けられない仕事!)、なんとかしようとがんばってくれるはずです。

噛みつかれてしまった方へ

悲しく辛い気持ちになりますよね。

噛んだ子供に腹立たしく思うかもしれません。
その気持ちはしかたないことです。

時間がかかっても、子供は社会全体で育てるものだと、長い目で見守っていく気持ちになれればいいですね。

自分の子供も大か少なかれ、迷惑をかけて育つものです。

仲がよくて近くにいるから噛まれるということもあるようです。
時がたてば、噛みつきも落ち着くはずです。
その時に、相手の親子とよい関係だと、子供どうしが得るものも大きいはずです。

中には、噛みついた相手の親に怒りを感じる方もいるかもしれませんが、苦情を言うなら保育園にしましょう。

法律的にも保育園で過ごしている間の監督責任は保育園にあります。
(ただし、明白な落ち度がなければ、噛まれたとしても保育園に責任はない)

噛んだ子供の親に何かを言っても、できることは何もありません。

噛んだ子供を憎むか、保育園に苦情を言うか、見守るか、というのが噛まれた子供の保護者の現実的な選択肢です。