葉酸を選ぶときは「厚労省推奨」に勘違いしないで!

葉酸は、妊娠1ヵ月以上前からの摂取が推進されていますが、気づいたら妊娠してることも多いものです。葉酸サプリメントって本当に必要なのでしょうか。

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葉酸とは何か?

葉酸は血液を作るのに使われ、不足すると貧血になることがあります。水溶性ビタミンなので体内に貯めることができず、日々の摂取が必要です。緑黄色野菜や枝豆、海藻などに多く含まれています。

葉酸には2種類あり、ひとつは食事から摂取する「食事性葉酸」。もうひとつは、サプリメントに含まれる「モノグルタミン酸型の葉酸」です。ここでは分かりやすく、「食事からの葉酸」と「サプリ葉酸」と呼ぶことにします。

厚労省は葉酸の摂取量として、18歳以上の男女で1日240㎍(マイクログラム)を推奨しています。妊娠期間中はそれにプラスして240㎍、授乳中はプラス100㎍を摂取するのが望ましいとしています。これらはすべて、食事からの葉酸の量でサプリではありません

食事からの葉酸の体内における利用効率は、サプリ葉酸と比べると半分程度なので、妊娠期間中のプラス240㎍をサプリ葉酸で摂る場合は、100㎍程度でよいことになります。食事からの葉酸プラス240㎍という数値は、適切な食事に追加して100㎍のサプリ葉酸を摂ると、赤血球の葉酸レベルを適正量に維持できたとするデータに基づいています。食欲に波がある妊娠中、食事で240㎍を追加で採り続けるのは困難ならサプリに頼ることも検討していいかもしれません。

ちなみに、平成27年の国民健康・栄養調査によると、20~30歳では249㎍、30~40歳では253㎍の葉酸を平均で摂取していそうです。

妊娠前と初期はさらに摂取することが推奨されている

さらに、妊娠1ヵ月以上前から妊娠3ヵ月までは、1日240㎍の食事からの葉酸に加えて400㎍のサプリ葉酸を摂取することが望ましいとされています。ただし、1000㎍は超えないように。妊娠前後の葉酸摂取は、二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害のリスクを下げるということがさまざまな研究から明らかになっているためです。

なぜ妊娠1ヵ月以上前から妊娠3ヵ月まではサプリ葉酸なのかというと、食事から摂取するのが難しい量であることと、食事からの葉酸でも同様の効果があると推測できるけれど、それを検証した研究がないからです。

厚労省がサプリメントの摂取を推奨していることから、葉酸サプリメント広告はたくさん目にします。ちなみに、中枢神経系の異常は妊娠7週未満に発生するので、妊娠が分かった時点では遅いという説もあります。

広告でははっきり記載されない場合が多いのですが、厚労省がサプリメントを推奨しているのは妊娠1ヵ月以上前から妊娠3ヵ月までです。他の期間は食事で摂取することを推奨しています

サプリメントの摂取が胎児に与える影響がないとは言えないということと、サプリメントの安全性も確約されていないためです

神経管閉鎖障害の発生率は、1万人に対して6人程度(1998年時点)。遺伝やその諸々の要因があるので、葉酸の摂取で必ず予防できるわけではありません。気づいたら妊娠7週を超えていても過度に心配することはないでしょう。もちろん、妊活中の人は摂取するといいと思います。

妊娠・授乳中は葉酸だけでなく、その他の栄養素も通常より多く必要になるので、バランスのよい食事が重要ということでしょう。妊娠中で食欲不振ならサプリに頼るのもありだと思う。授乳中はお腹が減るので、たくさん食べれば食事でなんとかなるかなという気がしますが、赤ちゃんの世話で食べる時間が無かったりもしますね。

結局サプリは必要なのか?

まとめると次のような感じ。

  • 妊活中~妊娠3ヵ月まで→食事に追加して、サプリで1日400㎍を摂取
  • 妊娠4ヵ月以降→妊娠前の食事量なら1日100㎍をサプリで摂取
  • 授乳中→食事でなんとかしたいところだけど、妊娠前の食事量ならサプリで50㎍を摂取

こんなサプリ取得はやめておけ!

とにかく妊娠期間中は葉酸を400㎍摂らないといけないと思っていたあの頃、ファンケルのマルチビタミン&ミネラル(葉酸200㎍)とネイチャーメイドの葉酸(葉酸200㎍)を組み合わせて毎日飲んでいました。このように複数のサプリを同時に取るのはやめましょう。健康被害が出た場合、原因が特定しにくくなるため、サプリは単独で摂取するのが基本。その他にも、今選ぶなら次のようなサプリは遠慮するかなというものを挙げておきます。

定期的に購入しないといけない上にバカ高い

製品に自信があるなら個別販売すればいいのにな、と思うので。

「厚生労働省推奨」とうたっている

厚労省が推奨しているのは、妊娠前と初期の葉酸サプリの摂取であって、特定の製品ではありません。あたかも、その製品が推奨されているかのように、大きく「厚生労働省推奨」とアピールするような企業の製品も信用できません。誤認を狙っているな、と感じたらやめておいた方がいいでしょう。

天然由来とうたっている

少なくても妊娠3ヵ月までの葉酸400㎍は、天然でなく合成したサプリ葉酸(モノグルタミン酸型の葉酸)の数値。天然では意味がない。本当に天然なら400㎍では足りないし、有効性に関する研究データがない。

まあ、そういう製品も天然由来といいつつサプリ葉酸(モノグルタミン酸型の葉酸)に変えてるわけなんですが。だから原料が天然である意味はないどころか、原料に含まれる不純物が除去されているのかという無駄な心配が出てきます。

サプリの場合、天然=安全とは限りません。原料の安全性が定かではなく、有害物質が取り除かれていない可能性もあります。農薬検査とか、放射能検査済みという製品もあるけど、さっくり合成すれば農薬の入り込む余地ないよね、と。放射能検査も検査する機器や方法によって精度が違うから、詳細を公開してないなら安心とは思えない。原料のばらつきもある。あるサプリは年に1回検査しているらしいけど、それで全製品が安全とは限らないと思う。

天然の方が製造コストがかかるので高くなるし、天然といえば安心感があるのか高く売れるのでしょう。なので、天然押しのものは私なら買いません。

聞いたことのない会社が製造・販売している

サプリは、消費する側からはなかなか品質の判断がつかない。製造会社・販売会社を信頼するしかありません。私だったら、知らない会社や小さな会社は選びません。

成分がてんこ盛り、美容成分とか

サプリの安全性は未知数です。不純物が除去されていない可能性や、成分同士の相互作用で何が起こるか分からないなど、原料・成分が増えるほどリスクもあがります

1日の目安量として指定されている量では必要な摂取量を摂れない

よくあるビタミン剤だと、1日の目安量が200㎍程度のため、妊娠3ヵ月までの推奨値400㎍には足りません。400㎍の製品に限ると選択肢が狭まるけど、目安量を超えた接種をしたり、製品を組み合わせるのはリスクがあるのでやめましょう。

で、どんなサプリがいいの?

正直、分からないので、私ならこれを買うというものを。

  • 妊活中~妊娠3ヵ月:葉酸が400㎍含まれるサプリ。
  • 妊娠4ヵ月以降:葉酸が200㎍含まれるマルチビタミン系。
  • 授乳中:食事でがんばる

(参考)
妊娠したらやるべきこと、用意するもの